イスラーム世界のことばと文化 (世界のことばと文化シリーズ) 佐藤 次高 成文堂 2008-05 |
エジPOPレビューの中町さんが執筆に加わっていること、「アラビア書道とその周辺」さんの記事が面白くかったこと、二つのブログの影響で手にしました。
扱っている対象が非常に多岐に及んでいるため、すべてが楽しめたというわけでもないですが、逆に言えば「どれかはひっかかる」お得な一冊。個人的にはやはり、現代アラブが対象の「メディアのアラビア語」と「現代アラブのメッセージソング」が一番面白かったです。
特に「古典フォスハー」と「今時のフォスハー」を扱った「メディアのアラビア語」が秀逸。購入のキッカケになっただけに手にして最初に目を通したのですが、読んだ後で保坂修司さんの筆によるものと初めて知りました。道理で面白いわけです。
保坂修司さんの単著は『サウジアラビア―変わりゆく石油王国』『乞食とイスラーム』『正体―オサマ・ビンラディンの半生と聖戦』の三冊すべて読んでいますが、どれも素晴らしく面白く、もっと本を出してくれないものか、楽しみにしていたところでした(特にオススメは『乞食とイスラーム』)。
『イスラーム世界のことばと文化』の目次・著者一覧は以下の通り。
総論―イスラーム世界との出会い
佐藤次高
イスラーム世界の旅・旅人・ことば
家島彦一
(アラブ、イブン・バットゥータ)
イランの生活を彩ることばと文化
岡田恵美子
(ペルシャ)
古典詩歌と物語から読み解くペルシア世界
北原圭一
(ペルシャ)
メディアのアラビア語
保坂修司
(アラブ)
『歴史序説』にみるイブン・ハルドゥーンのアラビア語観
湯川武
(アラブ)
現代アラブのメッセージソング
中町信孝
(アラブ)
トルコの話しことばと伝統芸能
アイデン・ヤマンラール
(トルコ)
トルコの美術と書道
ヤマンラール水野美奈子
(トルコ)
中華とイスラームのはざまで
黒岩高
(中国、東アジア)
壁としてのジャウィ、橋としてのジャウィ
山本博之
(東南アジア)
アラビア語とスペイン語のはざまで
佐藤健太郎
(スペイン)
現代ウイグル文化の歩む道
梅村担
(中央アジア)
「東」と「西」の架け橋
前田弘毅
(グルジア、西アジア)
『サウジアラビア―変わりゆく石油王国』保坂修司
『正体―オサマ・ビンラディンの半生と聖戦』保坂修司
『乞食とイスラーム』 ストリートと貴種流離談