あの日本が!

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 アフマド・アル=ムサッラマーニーという有名なキャスターがいます。ドリームチャンネルのアッ=タバア・ル=ウーラーという番組をやっている人です。公平で分かりやすい言葉で話す人で、エジプト人には珍しく(笑)穏やかに淡々とゆっくり話す文化人なので、個人的に気に入っています。
 この人の番組を見ていたら、「日本の『後進性』」という話題が取り上げられていました。

 日本の新聞に、日本が中国やアメリカに対して「遅れをとって」いることを危惧する内容が語られている、という話です。
 日本人にとっては「何を今更」という話題ではあるのですが、エジプトから見れば日本は紛れもなく「先進国」で、夢のように豊かな国です。その国が「日本もうだめぽ」と自分を評している、それなら他の国はどうなるのか、アラブ諸国なんかどうしたらいいんだ、という内容です。
 「いやいや、日本もおたくが思ってるほど良い状態じゃないですよ」というのはもっとも見方かと思うのですが、一方でその程度の問題なんてほとんどどこの国にもあるもので、まだまだ結構大丈夫(普通程度にしかダメじゃない)という方が、公平ではないかと思います。
 「日本ダメ」という話が出る時に比較対象になるのは、普通はアメリカやヨーロッパ諸国、中国であって、それ以外の国と比較されることはまずありません。まぁ「ダメ」と言いたいのだから、「進んでそう」「勢いありそう」な国を挙げるのは当たり前ですが、そんな国や地域など、世界全体から見ればまったく一握りにすぎません。
 今あるものを失う、というのは、なんであれ辛い体験ですから、「別にエジプトくらいでいいんじゃないの」と軽く言うわけにいきませんが、大抵の世の中はロクなものではないし、多分有史以来ずっとロクなもんじゃなかったのですから、ちょっとロクでもなくなったくらいで「もうダメ」では、命がいくつあっても足りません。変に自信を持っても気持ち悪いですが、まぁロクでもなくて当たり前くらいでボチボチやったらいいんじゃないかと思うのですけれどね。