悪いことをしないより良いことをする方が大事

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 某大先生の動画を見ていたら、「善行は悪行の十倍にカウントされる」といった下りがありました。
 この「十倍」という数字だとか、「集団礼拝すると報奨二十七倍」とかいうのは、「その数字はどっから来たんやっ」と密かにツッコミつつ、微笑ましく眺めているのですが、それはともかく、善行が悪行と単純に吊り合ってはいない、というのは重要です。
 「こんな発想だから、一部のボーンムスリムがテキトーなことばっかりするんやないか」という気もしなくもないですが(笑)、一方で、もし善行と悪行が等しくカウントされるのだとしたら、人は物事を行うのに消極的になってしまうでしょう。
 良かれと思って悪い結果が出てしまうことがあります。また、良いことをしようとしても、はたせずして終わることもあります。逆に、意図せずとも悪行に陥ってしまうことはありますし、シャイターンの誘惑に負けて、あるいは生活上やむにやまれず、「悪い」ことをしてしまう、ということが人にはしばしばあるものです。
 この時、もし善行と悪行が同じポイントにカウントされるなら、「いっそのこと何もしないのが一番安全なんじゃないか」という発想になってもおかしくありません。
 ですから、「善行は悪行の十倍」の背景にあるのは「何であれやってみろ、やらなきゃ始まらない」という思想のようにも見えます。

 日本人は概ね非常に「お上品」ですが、「義を見てせざるは勇なきなり」的な介入する「優しさ」には著しく欠けています。子供の頃から「悪いことをしてはいけない」と躾けられ、丁度善行と悪行が等しく釣り合うように、「余計なことはしないでおこう」という発想が染み付いてしまっているのかもしれません。
 昨今のセキュリティやらコンプライアンスやらばかりが煩く言われる世風を眺めていると、「善行一個で悪行十個も帳消しやから、とりあえずダメモトでやってみようよ」という勢いを学ぶべきようにも思えます。
 いや、預言者様はそんなことが言いたかったのでは全然ないかもしれませんけれど・・。



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