ジャーナリストでも政治に詳しい人間でもないので、単なるお喋り生活の中で受けた印象ですが、エジプトでのムスリム同胞団は、大躍進しているように見えて実はババを引いているんじゃないか、という気がしてきました。
非常に素朴な見方ですが、はっきり言って今のエジプトの現状では、誰が政権を取ろうが何もかもが急に改善されるということはあり得ません。そんなものどこでもあり得ないのですが、皆んな革命で勢いづいていているので、期待が大きい分、権力に対して文句をつけるのも早いです。同胞団は今後しばらくの間エジプト政治の中心になるでしょうが、彼らがどんなに優秀でも、全体としては必ず失望の方が大きく、すぐに首のすげ替えになるでしょう。また、「ダメだったらすぐ替えたらいいやん。文句言ったらまた革命したらええやん。
何でもまぁやってみようや」というのは多くのエジプト人に今現在共有されている感覚に感じます。
しかもこれが大統領選挙の前の状況なので、議会で同胞団が大勝しても、大統領選挙では違う思想傾向の人が選ばれる可能性はかなり高いかと思います。それがリベラル系に振れるのか、サラフィーに行くのかは分かりませんが。
ちなみに、エジプトでサラフィーが意外な躍進を見せたことで不安を感じられている向きもあるようですが、エジプトでの「サラフィー」という語の使われ方はかなり大雑把で、同胞団より更に宗教色が強ければ何でもかんでもサラフィーと言っているように感じます。というか、庶民の見方としては、髭が長くて白い服着てたらサラフィーだと思ってるんじゃないでしょうか(笑)。
友人に在カイロのポーランド人がいるのですが、ポーランドもかつて今のエジプトみたいな調子で、社会主義体制が倒された後、数え切れないくらの政党がやって来てはすぐ捨てられたそうです。それを考えると、彼ら(あるいはわたしたち)が本当の絶望を味わうのはまだまだこれからだという気もしますが・・。
全然関係ないですが、彼女はタハリールからメトロ一駅くらいのところに住んでいて、ある時外出してちょっと角を曲がった途端、すごく息苦しくなりまともに呼吸もできず、すぐ引き返したと言います。催涙ガスがそこまで流れてきていたのです。メトロ一駅ならそこそこの距離なのですが、それでこの調子なのなら、タハリールは一体どうなってるんだ、と思ったそうです。タハリールや内務省周辺も相当人口が多く、大衆地区も近接しているのに、ガンガン催涙弾やら使われたらたまったもんじゃないですね・・。