この宗教

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この宗教
هذا الدين
サイイド・クトゥブ
سيد قطب

人間のための方法

 神性の方法は、それがアッラーの元からもたらせれたものだからと言って、座視していれば超自然的方法により実現するものではなく、ムスリム集団の努力により実現する。これはウフドの戦いとこれについての聖句からも明瞭である。

無比なる方法

 神性の方法は、人間の定めた方法と同様に努力を要するが、欲望などの人間的特性に影響されない完全なものである。それは、ただアッラーへの帰依により、すべての隷属から人間を解放するものである。

平易なる方法

 信性の方法は、人間に過大な努力を課すものではない。欲望への隷属から人間を解放するものだ。だがこの方法が平易とするには、イスラームの支配する社会を構築しなければならず、その外では困難を要する可能性がある。
 イスラームの方法が平易であるのは、簡略的に成果をあげようとするのではなく、人間本性に基づき現状から一歩ずつ進んでいくからである。

影響ある方法

 神性の方法が実現されたのは短い期間だったが、この輝かしい期間は現在に至るまで大きな影響力を残している。この実現は、超自然的な奇跡ではなく、再現可能な努力によって成し遂げられたものであり、加えて現在は、その後に積み重ねられた抵抗の蓄積があるため、実現はむしろ容易になってすらいる。

特質の蓄積

 イスラームがアラビア半島の現実に打ち勝ったのは、現世的な利得を人々に約束したからではなく、人間の特質に従ったからだ。ジャーヒリーヤの歪んだ制度としてペルシャ、インド、ローマの三つの例を考え、ユダヤによる利子制度から人々を解放したイスラームを見る。

経験の蓄積

 今日では、最初にイスラームが訴えた人間の特質に由来する蓄積の他に、その後に積み重ねられた経験の蓄積がある。ヨーロッパ諸学や宗教改革の起源も、多くがイスラームにある。

定着した道筋

それから
 
 イスラーム主義に多大な影響を残したサイイド・クトゥブの小論です。クルアーンからの引用については、原則として日本ムスリム協会版に準拠し、原文に引用箇所明示がない場所も、スーラ・アーヤ番号を付しています。
 非常に後ろ向きなことを二つ申し上げておきます。第一に、この訳は悪いです。第二に、この本は面白くありません。
 第一の点については、内容的に、術語的用法をされていると思われる語を、弁別可能かな形で訳出しようとして、非常に不自然な日本語になってしまった、というのもありますし、原文が極めて冗長でもってまわった言い方をしている、というのもあります。ただそれ以上に、実力のない者が習作的に訳したことが最大の問題でしょう。加えて、途中から正直モチベーションが低下しています。
 第二の点については、申し訳ないですが、かなり自信をもって断言できます。原文で百ページほどの小冊子ですが、多分五ページくらいでまとめられます。この冗長さに対する苛立ちもあって、上の章タイトルの下に勝手に要約をつけておきました。
 本書におけるクトゥブの主張について、個人的には、その最も中心的な主張にはかなり共感しますが、各論についてはほぼ全面的に賛成できません。余りにもナイーヴに、かつ具体性もなく、イスラームだけが正しく、他がすべて劣位にある、と語る部分や、過去の栄光ばかりを賞揚する部分が多く、正直、読んでいてうんざりしました。
 不明な箇所でアドバイスを求めたエジプト人も、結構宗教熱心なタイプのムスリマであるにもかかわらず、かなり辟易していました。
 ただ、初期イスラームの成功は、決して奇跡のなせる技ではなく、人間的努力によって再構築可能なのであり、その後の経験の蓄積があるだけ、むしろ現代の方が多くの可能性を秘めている、という、核の部分だけは、シンパシーを抱きました。
 また、文章そのものはリズムに優れ、音声的に美しいです。音読するとうっとりするような詩的な圧力があり、何となくこの勢いで説得されてしまう人も多いと思うのですが、冷静に考えると何を言っているやらよく分からない、という文章です。後半は割と平易ですが、前半には無用に修辞的な表現が目立つように思います。

 まだ作業中のため、順次アップしていきます。

 なおクトゥブの主著『道しるべ』は邦訳が出版されています。

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