『アンストッパブル』トニー・スコット

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B005HGCPXM アンストッパブル [DVD]
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン 2011-10-26

 単なる映画の感想です。
 特別期待もしないで見たのですが、めちゃくちゃ面白くて驚きました。
 2001年に実際に起きた話を元にして作られた作品で、要するに暴走列車を止めるというだけのストーリーなのですが、非常に引き込まれます。
 まず、事故が起きるまでのプロセスが、逆に実話でなかったら脚本には書けないほどバカバカしい。純粋なフィクションとしてアイデアを出しても、リアリティがなさすぎて却下されるレベルです。日本ではこんな事故が起こりえないと信じたいのですが、本当にバカバカしいことの連鎖の結果、列車が止められなくなってしまいます。手抜きをした作業員に問題があるのは当然ですが、その手抜きの結果がここまで大事になるというのは、どう考えてもシステム的に問題あり過ぎでしょう。見ていて笑ってしまいました。
 で、途中までは誰が主人公かもよく分からないほど何気なく事件に巻き込まれた二人。デンゼル・ワシントン演じる勤続28年のベテラン運転手と、クリス・パイン演じる四ヶ月の新米車掌。二人は暴走列車と同じ路線を走っていて、クリス演じるウィル車掌のミスから手近な退避路線に入ることができず、衝突ギリギリまで暴走列車に正面から近づく羽目になります。そして何とかやり過ごした後が、この映画の一番感動するところです。
 勤続28年のオッサンが、後ろから列車を追いかけて引っ張って止める、というのです。
 それ以前にも列車を止めるいくつかの策が失敗していて、更にこの時点では計画段階だった脱線作戦も、この運転手は「失敗する」と予言しています。せっかく正面衝突を回避できて命が助かったところなのに、わざわざ危険の中に舞い戻っていくのです。
 この時のオッサンが猛烈にカッコイイ。
 最近の映画や漫画は、子供やら変なモヤシみたいなイケメンが活躍する話ばかりで辟易しているのですが、この映画の良いところは、オッサンがカッコイイところです。そのオッサンにバカにされていた新米も、一緒に命をかける。更に最後に大活躍するネッド溶接主任も、見た目も怪しいサングラスで冴えない様子なのが素晴らしい。
 会社に制止され、「クビにするぞ」と言わた時に、「You already did」と返すのもカッコイイ。この運転手は、既に強制早期退職を宣告されていて、ここで物語最初の新米車掌とのやり取りが伏線として生きてきます。既にクビ宣告されていて、会社に対して何の義理もないのに、命をかけて列車を止める。これが実話だということに胸が熱くなります。
 また、「ちょっと違うdifferent仕事をしたかった」といった新米運転手のセリフも、後で伏線回収されています。
 99分と短い作品で、ストーリー的には何の捻りもないシンプルなものなのですが、オッサンのかっこ良さが尋常ではない映画です。



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