アラビア語では、何かの料金を支払うとしたら、
リ」リッル・ケ ル・ほ畏ッルⅨr
であり、料金を受け取るとしたら、
リ「リョリー ル・ほ畏ッル浬r
です。
つまり、払うのは「彼の」お金であり、貰う時は「わたしの」お金、になるわけです(普通はこんな言い方をしないと思うけれど、例示のために所有代名詞をつけます)。
日本語で「彼のお金を払う」「あなたのお金を払う」と言ったら、お金を預かっているか、泥棒です。払った後で、初めて「彼のお金」になります。それまではまだ「わたしのお金」ですから、払う時は「わたしのお金を払う」です。
アラビア語の感覚では、商品を受け取った段階で、ポケットの中にあるお金はもう「彼のお金」になるようです。だから、払うのは「彼のお金」。受け取るのは「私のお金」。
ここから商取引についての両者の思想的差異に話を膨らませることもできるでしょうが、それは外国語や異文化を学ぶ時にしばしば起こる「些細な表現の差異に対する過剰な意味づけ」というものでしょうから、控えておきます(笑)。
しかしまぁ、この「過剰な意味づけ」体験があるからこそ、言語というのは面白いのですよね。
以前、スターバックスで知り合ったアメリカ人が、漢字の偏や旁の意味の深遠さを熱く語っていたのを思い出します。それで良いと思うし、それくらい意味が見出せなければ、語学学習なんてやっていられないでしょう。
子供はいつも、大人よりずっと意味に囲まれています。