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歌詞を覚えられる人と覚えられない人

 語学に絡んでいると、「歌で言語を覚えよう!」的な試みに出会うことがしばしばありますが、これは有効な人とそうでない人がハッキリ分かれる気がします。
 以前にエジプト人に、「歌で覚えると覚えやすいよ、わたしは英語を歌で覚えたよ」と言われ、アーミーヤの歌を勉強に使ってみたことがあるのですが、これがびっくりするくらい聞き取れません。普段のアーミーヤ力と比べても余りにも理解できないので、このエジプト人に呆れられたくらいです。
 ちょっと落ち込んだのですが、考えてみると、わたしは英語でも日本語でも、歌があまりよく聞き取れません。最近の日本の歌謡曲は、ヘンテコな日本語で聞き取りが難しい、というのもあるでしょうが、昔の歌でもやっぱり頭に入りにくいです。かなり集中しないと歌詞に意識が行きません。自然に歌詞を覚える、口をついて出る、なんてことはまずあり得ません。
 歌が好きな人というのは、自然に歌詞が頭に入ったり、口をついて出たりするようですが、人生でまともに歌詞を覚えている歌がほとんどありません。小学校の校歌が一番憶えている気がします。
 要するにわたしは「歌詞が頭に入ってこない人」のようです。そういう人は、語学とかなんとかいう以前に、歌の才能がないので、歌を語学学習に使うのはやめておいた方が良いかと思います。もっと言えば語学の才能自体がないのですが、それを言ってはお終いなので、自分を騙しておきます。
 歌が入ってくる人というのは、実に羨ましいものですね。わたしは歌を聞くのも歌うのも下手でよく分からないし、カラオケなんて、八時間じゃがいもの皮を剥いている方がマシなくらい苦痛なので、まるで別世界です。
 考えてみると、中学高校の頃はバンドなどやって多少なりとも音楽に馴染んでいた筈なのに、当時から歌のある音楽がサッパリ心に入って来ませんでした。ジャズやジャズから派生した系の音楽で、楽器が鳴いているもの、特に超絶技巧ベースなどのラインばかり気になっていた気がします(別にパートはベースではないのですが)。その後も好きなのはエレクトロニカ系のものがほとんどです。
 わたしにとって、歌というのは会社に似ていて、何かキャラを立てて見えない秩序の中に無理に入っていく感じなのですが、もうどっちも適性がないので諦めました。

kharuuf

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kharuuf
Tags: 音楽

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