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『ソーシャル・ネットワーク』デヴィッド・フィンチャー

 「『ソーシャル・ネットワーク』を観に行こう」と言われて、気でも狂ったのかと思ったのですが、監督がデヴィッド・フィンチャーと聞いて納得しました。
 デヴィッド・フィンチャー監督と言えば、『エイリアン3』『ファイト・クラブ』『セブン』『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』と、極私的にハズレのない監督。特に『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』はオススメです。
 Facebookにもマーク・ザッカーバーグにも全然興味がないし、むしろ視界に入れたくないくらいなのですが、監督一点に賭けて見に行きました。
 結果としては、なかなかアタリでした。お話としてはSNSを立ち上げるだけのことですし、殺人事件もアクションも宇宙人も出てきませんが、流石デヴィッド・フィンチャーというジワジワくる不気味さです。
 ネタバレですが、場面として面白いのは、ボートレースのシーン。被写界深度を異様に下げて、ミニチュア撮影のような効果を出しているのですが、これが兄弟の敗北と、ザッカーバーグに対抗し学長に訴えるような矮小さと、悪夢のようにクロスオーバーしています。
 ただ、個人的に面白く感じるのは、あくまで映画としてで、仮に現実の風景として眺めるなら、ひたすらに不愉快なだけです。もう、全員殺したくなります(笑)。
 それにしても、ザッカーバーグの元相棒の地道に資金集めしている子以外、見事なまでに全員ロクデナシです。そのロクデナシぶりが、犯罪者やアウトローという意味ではなく、社会の枠組みの中に収まり、それどころか「成功者」でもある、そこに映画として不気味さがあるし、現実として醜悪さがあります。

ソーシャル・ネットワーク (デビッド・フィンチャー 監督) [DVD]

フェイスブック 若き天才の野望 (5億人をつなぐソーシャルネットワークはこう生まれた)
デビッド・カークパトリック 小林弘人 解説
日経BP社 2011-01-13

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