Categories: 書評

『文明の内なる衝突―テロ後の世界を考える』大澤真幸

文明の内なる衝突―テロ後の世界を考える (NHKブックス)
大澤 真幸
日本放送出版協会 2002-06

 池内恵さんの『現代アラブの社会思想―終末論とイスラーム主義』からの孫引きが大量なのには苦笑してしまうけれど、相対主義やポストモダニズムに対する視点は明晰判明で、このように冷静かつ簡潔に状況を認識できる人がもっと沢山いれば、と考えてしまう。
 ただ、本人も自覚はしているだろうけれど、アラブ・イスラームについての知見が、やはり薄っぺらすぎ、良くも悪くも抽象的なステレオタイプに陥っている。ステレオタイプといっても、世間一般でのアラブのステレオタイプ、アメリカ的紋切りという意味ではなく、ちょっとイスラームのことを知っているサヨクくさいインテリだけれどアラビア語はできない、くらいの人のステレオタイプ、ということだけれど。
 でもまぁ、本棚に置いて損のない一冊です。

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