『アラブ人の不思議な習慣』マーガレット・K. (オマル)ナイデル

　アラブ系アメリカ人女性マーガレット・K. (オマル)ナイデルによる一般向けアラブ文化論。20年も前の本ですが、内容的に極めて概論的なので、まったくアラブ文化に馴染みのない方が大雑把な予備知識を得る上では、それほど事情は変わっていないのでは、と思います。アメリカではベストセラーになったようです。
　この翻訳を読んだ多くの日本人が感じたことだと思いますが、なんだか日本人、正確には「ちょっと昔の日本人」のことを言われているような気分になります。挨拶が長い、親族志向、公私混同、など、ビジネスの上で欧米人がアラブ人に対して「気をつけること」は、多少程度を緩くすれば昔の日本人でもほとんど一緒だった気がします。もちろん、まったく正反対な部分も沢山あるのですが、本書はアメリカ人がアラブ人を「異質」と感じる部分を中心に書かれているので、そうした面については少なからず日本人、アジア人一般にも通じるものがあります。むしろアングロ・サクソン的な商習慣の方が特殊なんじゃないか、と考えさせられます。
　深く突っ込んだ本ではありませんが、お気楽に読める一冊。
　特段アラブ文化に興味がなくて、何かの事情でアラブ人とビジネスをすることになった方などは、さらっと眺めておくと役に立つと思います。