Categories: メモ雑記

منقلبون

 今読んでいる小説の中で、キリスト教徒(コプト)のエジプト人が「この三十年くらいでイスラーム主義が伸長して末恐ろしい」ということを嘆く場面があります。アーミーヤで面白おかしく語っているもので、これが事実であるにせよ、そんなシビアな文章ではないのですが、その中で「飛行機に乗ると無理矢理クルアーンを聞かされ、その中でمنقلبونとか言ってる。縁起でもない」といった言い方が出てきます。
 これはسورة الزخرفの一節で、

سُبْحانَ الَّذِي سَخَّرَ لَنَا هَذَا وَمَا كُنَّا لَهُ مُقْرِنِينَ
وَإِنَّا إِلَى رَبِّنَا لَمُنقَلِبُونَ
かれを讃えます。これらのものをわたしたちに服従させる御方。これはわたしたちには叶わなかったことです。
本当にわたしたちは、主に必ず帰るのです。
(43:13-14)

 というアーヤの話です。
 これは主が乗るための家畜を与えて下さったことに感謝する下りで、そのため乗り物に乗る前のドゥアーなどで読まれます。飛行機で流れるというのは、そういう訳でしょう。
 ここに出てくるمنقلبونというのは、「(主の御許へと)帰るものたち」という意味ですが、文字通りには「ひっくり帰る」です。ですから、この小説の登場人物は、「飛行機が飛ぶ時にひっくり返るとか言ってくれるな」と皮肉っている訳です(多分、実際には本当の意味の分からないエジプト人というのはキリスト教徒でもいないと思うのですが)。
 以上、小ネタでした。

kharuuf

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