仕事を探しているニートや引きこもりの人は、あまりネットを見ない方がいいんじゃないか、と思っています。
仕事をしていない人にも色々いて、もう全然仕事する気なし!というならそれはそれで良いと思うのですが、仕事をする気は多少なりともある場合、とりわけココロ系の問題がネックになって今一歩踏み出せないタイプ(やる気や技術はある程度あるものの、極端に気が弱いとか非社交的だとか)の方は、ネットの情報を見ない方がうまく行くはずです。
というのも、ネットにある「仕事に関する裏話」は、余りにダークで過酷なものが多いからです。
確かに過酷な職場というのは存在しますが、みんながみんなそんな恐ろしい会社の訳がありません。電車に乗っているその辺のオジサンとかオバチャンとかも大概は何とか務まっているわけですから、過酷といっても知れているものです。ものすごい楽な仕事だってあります。
にも関わらず、ネットで目にするお仕事情報が実際以上に厳しそうに見えるのは、一つには、働いている人が楽してお金貰っていると思われるとカッコがつかないからでしょう。「俺たちはこんなに苦労してお金を稼いでいるんだ、ニートとは違うんだ」とメンツを保っておきたいのです。楽な仕事だとしても、相応の時間を拘束されているのは事実でしょうし、それがあんまりホニャラケたものだと「いったい自分の人生何なんだ」という気持ちになって、虚しいというのもあるでしょう。だから、何としても自分のミッションは困難に満ちた意義深いものであって欲しいわけで、その内実が空虚な人ほど、訳もなく無職者を叩くことでかろうじてプライドを保っているのです。
もう一つは、「仕事楽だよ! お金もらえるよ!」と甘い情報が流れて、みんなが気易く働き始めると、椅子の取り合いになって面倒くさいからです。「ここは厳しい、来ない方がいい」という空気を作っておいた方が、中の人も安心して椅子に座っていられるのです。
もちろん、すべての仕事が楽だと言うわけではありません。大変な仕事だって沢山あります。わたしは訳あってかなり多くの転職経験を重ねてきたのですが、「ふざけるな」というくらい過酷な仕事も、「ふざけるな」というくらい楽な仕事もありました。
面白いのは、大変な仕事ならお給料が沢山貰えるかというと、そんなことは全然ない、ということです。楽で儲かる仕事もあるし、大変でも儲からない仕事もある。
「当たり前じゃないか」と思われるかもしれませんが、気弱で社会に踏み出せないタイプの人は、往々にして「そんなに沢山お金は要らないから、細々仕事がしたい」と考えていることが多いのでは、と思うのです。自分自身にもそういう発想があるから、理解はできます。
しかし、世の中はそういう「細々」ニーズに応えるようには全然できていないのです。ワークシェアリングなんて夢のまた夢。
遠慮してお給料の安い仕事を狙ったら、儲からない上わけのわからないワンマン社長が一日中喚いているだけで、秩序もヘッタクレもなく、疲れ果てた社員が「こんなの会社じゃない・・部活だよ・・」と呟いている会社かもしれません。というか、実話です(笑)。
ですから、お給料に関しては、何も考えずに高ければ高いほど良い、と思っておいて間違いないです。
中身がどうかは、クジを引いてみないとわからないので、考えても仕方ありません。考えてもわからないことをつい考えてしまう、というのは中々厄介な問題ですが、お薬飲むとか断食するとか一日中寝ているとか、使えるものは何でも使って考えないようにしましょう。
そしてネットに溢れるお仕事裏話には、一切耳を貸さない方が賢明です。
入ってみて「こりゃあかん」と思ったら辞めたらいいのです。どうせ今も働いていないのですから、辞めて元々です。気楽にやりましょう。
「ニート」って言うな! (光文社新書) 本田 由紀 光文社 2006-01-17 |