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超展開なエジプト大統領選

 エジプト大統領選がムハンマド・ムルシーとアフマド・シャフィークの決戦となっているようです。
 昨日アラビア語放送を料理しながら聞いていたら、非公式推計の二位のところから公表していて、二位がシャフィークというのにまず驚きました。その後ハムディーン・サッバーヒーが三位と聞こえて、「一体どうなってるんだ」と思ったのですが、この時点では一位はアムル・ムーサーかアブルフトゥーフなのだと思っていました。ところが一位がムルシーと後から知って、もうさっぱり意味が分かりません。毎度のことながらこの国は超展開が多すぎます。
 下馬評ではアラブ連盟事務局長を務めたアムル・ムーサーと、イフワーン(ムスリム同胞団)を離脱したアブドゥルムンイム・アブルフトゥーフが有力で、これにナセリストのハムディーン・サッバーヒー、イフワーンの第二候補ムハンマド・ムルシー(第一候補は失格)、前首相で旧体制の生き残りアフマド・シャフィークが続く、という観測が有力でした。わたしもアムル・ムーサーかアブルフトゥーフのどちらかで、少なくともアフマド・シャフィークはあり得ないだろう、と思っていました。ちなみに、この中でハムディーン・サッバーヒーは知名度がグッと低いのですが、貧困層の出身で反サーダートで戦ったナセル主義者とのことで、やや社会主義や組合運動寄りの人物のようです。イスラエルに対しても強硬姿勢をとっているとのこと。
 当然ながらエジプト人自身が決めることなので、誰がなっても構わないのですが、アフマド・シャフィークが当選ということになると、大混乱は必至です。なにせあれだけの犠牲を払って倒した旧体制からそのまま大統領が出てくるわけで、納得できない人たちがいるのは当然です。下手をするとこのまま第二革命コースです。
 ただ、個人的な感覚だと、旧体制支持派というのもそれなりにいるというのは分かります。友人の範囲内でも、革命後もムバーラクを支持していた人がいますし、アッバセーヤに集まって旧体制支持を叫んでいた人々のすべてが、権力に握らされていたとも思えません。それを差し引いても、ちょっとシャフィークが頑張りすぎには見えるのですが・・。
 もうムルシーでもサッバーヒーでもいいから、シャフィーク当選だけは何とかして食い止めて頂きたいです。

 ちょっと面白い話を外国人向け語学学校で教師をしているエジプト人の友人から聞いたのですが、この学校の生徒たち(ほとんどは西洋諸国からの学生)に尋ねたところ、アブルフトゥーフが一番人気だったそうです。西洋人はアムル・ムーサーとかを支持するのかと思っていたのですが、ちょっと意外です。
 イフワーンのムルシーが当選すると、警戒する向きも多いのかもしれませんが、議会でこれだけイフワーン優勢な状況を見れば、そんなに不自然な結果ではないでしょう。少なくともシャフィークが大統領になるよりは安定すると思います。
 イフワーンに対しては色々な意見がありますが、個人的には、これだけ支持があるなら一回やらせてみたらいいんじゃない、と思っています。そんなに急進的なイスラーム化はしようにもできないでしょうし、イフワーンは良くも悪くも折衷的でそれなりに現実的な組織です。そこがダメなんだ、というのもあるでしょうけれど、どんな政治をやってくれるのか見てみたいという好奇心もあります。どのみち、誰が大統領になってどこが政権を取ろうが、エジプトに山積する問題が一気に片付くということはあり得ないですし、悪くなるにも限度があるでしょう。いや、本当に無責任なことを言って恐縮ですが・・。

kharuuf

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kharuuf
Tags: エジプト

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