その他大勢が敵というのが一番恐ろしい

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 前回書いたことに関連するのですが、今頃になってものすごい基本的なことに気づきました。
 日本の警察は、エジプトの警察の一万倍マシです。いろいろ非道なことはあるでしょうが、少なくとも革命前のエジプト権力に比べたら、日本の警察なんて可愛いものです。公共サービス全般についても同じですが。
 わたしは外国人なので守られた立場ですが、一般エジプト人については、何かあってもまず警察は助けてくれないでしょうし、どう考えても恐れる対象としての意味合いの方が大きかったはずです。
 一方で、もし警察や、何らかの治安関係者やら、権力の手先やらといったものに絡まれてしまった場合、あるいはただ単にゴロツキに絡まれてしまった時に、その他大勢の一般大衆がどれくらい便りになるかという点で言えば、日本はエジプトの一万倍恐ろしい。
 少なくとも、わたしが道で危険な目にあっても、まず助けてくれる人はいないと思います。むしろ「ザマアミロ」くらいで見ている人の方が多いかもしれません。エジプト人は、たとえカッコだけ、口先だけだったとしても、そんなつれない態度は絶対取りません。最悪でも慰めてはくれます。
 日本の道が恐ろしいのは、権力がむちゃくちゃしているからでも、ゴロツキが幅をきかせているからでもなく、「善良な市民」が全然味方ではない、どちらかというと敵だからです。「その他大勢」が良くて無関心、悪いと鼻でせせら笑う「敵」になるというのは、テロだの暴動だのよりずっと恐ろしいことだと思うのですけれどね。
 「何か」が起こる可能性という意味では、東京は相当「治安の良い」ところだと思いますが、「何か」が起こってしまった時にどれだけ救われるか考えると、東京は不安で一杯に感じます。「何か」一つ起こったら、もう止めようもなく、最悪の結果まで転がって行ってしまいそうです。
 とりあえず、わたしはエジプトの道を歩いていて、道路横断以外のリスクを感じたことはないですが、日本では何か名状しがたいイヤ~な緊張感と不安にいつも付きまとわれています。まぁ、皆が皆こんな風に感じているとは思いませんが。